■先日こんな質問を受けました。
「自分がちゃんと結果を出していないと部下に言いたいことが言えない」。
私は「そんなことないと思いますよ」と言いました。
確かに営業系など結果が目に見えるような職種で、
かつ、結果志向の強い職場であればあるほど、
よくある上司の気持ちであり、
一理あるかもしれません。
だからと言って、
上司として言うべきことを言わない、
やるべきことをやらない、
と言うのは上司の職務怠慢であり、
ある意味無責任な行動になりますよね。
もちろん、
結果は出していないより、
出していたほうが説得力はあるかもしれません。
でも、上司というのは、
自分を棚に上げてでも
言うべきことを言わなければいけないときがあります。
やるべきことをやらなければいけないときもあります。
それが上司です。
■では、なぜ
自分がちゃんと結果を出していないと部下に強く言えないのか?
それは、
「指示命令をしている」
と言う心理が
「自分がやることやってないと強く言えない」
と言う行動を導き出しているのではないでしょうか。
上司から部下へは常に指示命令なのでしょうか?
そんなことはないですよね。
■スポーツの世界で
「名プレイヤー名監督にあらず」
という言葉があります。
選手として2流、3流だったからと言って、
コーチや監督が選手に言いたいことを言わなかったら
監督やコーチは務まりません。
では、選手として2流、3流だったコーチや監督でも、
なぜ、名監督になったり名コーチになったりするのでしょうか?
それは、選手に指示命令をしているという心理ではなく、
「選手の目標達成のサポートをしている」
「チームの優勝という目標達成のために協力しあっている仲間」
と考えているからではないでしょうか。
一言でいうのであれば、
プロの選手としてリ相手をスペクトし、
一緒に頑張っている仲間として
コミュニケーションをとっているからではないでしょうか?
■そう考えれば、上司は、
「自分の部下の目標達成をサポートしてる」
と考えればそのサポートのためのアドバイスなので
遠慮する必要がないとおもいませんか?
自分の部下に対して、
「やれ!」というか「やろう!」と言うかの差で、
「自分がやることをやってないと強く言えない」
という心理は、
指示の出し方次第で、
ずいぶん緩和できると思います。
■「やれ!」と言う指示の出し方をしている人にとっては、
自分がやることをやってないと
確かに言うことを言えないかもしれません。
しかし「やろう!」と言うことであれば
問題ないのではないでしょうか。
例えば、目標600万円の売り上げに対して
今300万円で残り10日の場合、
指示命令系ですと
「目標600万円の売上に対して今300万円で残り10日だよね。
20日で半分の300万円しかできていない中で、
残り300万はどうするつもりなんだよ!!」
みたいな言い方になりますかね。
これではやはり自分がやるべきことをやってないと言えないですね(笑)
でも、上司として
目標達成のためのサポートをしているという気持ちであれば、
「目標600万円の売り上げに対して
今300万円で残り10日だよね。
残り10日しかないけど、
なんとかやりきるために
一緒にどうするか考えたいんだけどいいかな?」
こんな言い方ですかね。
これなら自分でやるべきことをやってなくても
特に問題ないのではないでしょうか。
更にはこんな質問を織り交ぜながらサポートをしてあげたら、
もっといい関係築けるかもしれません。
・目標達成のために解決すべき問題は何かな?
・目標達成のために協力してもらいたいと思っている人はいる?
・その解決方法を整理するとこんな感じかな?
・その解決方法に納得して取り組んでもらえるかな?
・他に何か私にできることはあるかな?
■以前、大リーグへ行ったあるプロ野球選手が
日本にいる頃は
「ああしろ!こうしろ!」
みたいな指示命令ばかり受けていたそうですが、
大リーグに行った最初のコーチが
「君はプロだ。
自分のことは自分が一番よくわかっているはずだ。
僕たちコーチは、
あなたがよくなるためのサポートをすることが仕事だ。
一緒に目標達成のために何ができるか考えよう」
みたいなことを言われて
拍子抜けしたようなことを言っていました。
まさしく、
選手をリスペクトして、
目標達成のサポートをしているという気持があるから言える一言ですよね。
あなたも、部下に指示を出すときに
「やらせる」という心理で指示命令をするのではなく、
相手をリスペクトして
「目標達成のためのサポートをする」
という心理で接してみてはいかがでしょうか。
関係性がずいぶん変わると思いますよ。