以前子供と買い物に出かけた出来事です。
まだ小さかったため、ちょこまかちょこまかと、
あっち行き、こっち行きしながら歩きます。
本来一人であれば、ものの5分で歩ける距離に、
30分くらいかけて歩くことになります。
その間子供は、何かを発見したかのように、
あっちこっちに足を運びます。
大人にしてみるとよく分からない赤い光る電球や、
道端の落ちている石ころなど。
考え方を変えれば、非常にイライラする話です。
しかし、子供はこの短い距離を
長い時間かけていろいろなものに触れながら、
勉強しているのです。
見守る力のない大人はすぐに抱っこしたり、
「速く歩きなさい!」
とでも言って、
子供なりに楽しんでいる大切な時間を
奪ってしまうのでしょう。
今日は何でこんな話をしたのかといいますと、
私はセミナーで、
もしかしたら上司にとって一番必要な能力は
「我慢」かもしれないという話をします。
「見守る力」ということです。
上司である人は
それなりの経験や実績を積んできているので、
部下の仕事振りを見ていると、
「いや~そうじゃないんだよね~」
「そこでそう言ったらだめじゃん」
と叫びたくなるような場面が多々あることでしょう。
しかし、仕事を覚え、能力を磨いていくのに必要なのは、
たくさんの失敗です。
失敗をする前に親や上司が直ぐに手を差し伸べてしまっては、
せっかくの成長の機会を奪いかねません。
そこで、部下や子どもの成長のためにも
多少は目をつぶっても見守る、
要するに我慢する気持ちを持たなければいけないのです。
親は子供がおなかの中にできると、
生まれるまでの十月十日待たされ、
笑うのを待たされ、
ハイハイするのを待たされ、
しゃべるのを待たされ、
歩くのを待たされるなど、
そもそも待たされることの連続です。
同じように部下を持つ上司になったら
部下の成長の過程では、
待たされることの連続なのです。
非常に効率を求める今の企業では相反することを
しなければならないのが人の教育ではないでしょうか。
人を育てるのに魔法はありません。
こういった日々の地道なコミュニケーションが、
人を育てていくのではないかと私は考えます。