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仕事を任せるための5Batons(仕事を任せる前)

5Batonsとは

仕事、権限、説明責任、結果責任、評価。

 

仕事を任せる基本系は、

・成果とは何か(目的・目標)を明確化する

・いつまでに、何を、どうするのか?計画を立てる

・どう進捗を確認し合うのか?進捗確認の方法を決める

これを「仕事を任せる前」と「仕事を任せた後」で、

分解して伝える。

 

今週は「仕事を任せる前」8ステップ

 

●ステップ1)任せる仕事の適任者は誰か考える

 

仕事を任せる際にはなるべく相手の強みが生かされ、

興味・関心に近い仕事を任せるようにする。

実際には相手の希望に沿えないことが多いかもしれないが、

それでも明らかに本人の希望にそぐわない仕事、

強みが生きない仕事は極力任せるべきではない。

「仕事が面白い!」と思わせてあげることも、

リーダーの重要な役割。

「仕事を面白くする工夫」を完全に部下に丸投げしてしまうのは、

上司の無能を、仕事を任された側に押し付けているだけ。

上司は「仕事の面白さ」を演出できることも大切な役割。

 

●ステップ2)任せ方を検討

 

基本形は、

・やる気(高)、能力(高)⇒委任

・やる気(低)、能力(高)⇒支援

・やる気(高)、能力(低)⇒ティーチング

・やる気(低)、能力(低)⇒コーチング

これはあくまで基本系であり、

場面によって使い分けることが必要。

また、重要度が高く、部下でもできる、

緊急度は高いが、重要度は低い仕事は、

極力部下に任せる。

 

●ステップ3)仕事の目的・目標を明確化する

 

この仕事は、

何のために、なぜあなたにお願いをするのか?

成果とは何か?(いつまでに、何を、どれくらい)

を明確にする。

特に、目的が重要なので、

どんなことでも理由(目的)を添える。

 

●ステップ4)業務内容を具体的に理解させる

 

業務を具体的にするための定石が6W3H。

いつまでに(When)、誰が(Who)、どこで(Where)、

何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)、

いくらで(How much)、誰に(Whom)、

どれくらい(How many)。

いつもすべての要素が必要とは限らないが、

この9つの要素を網羅して仕事を渡したかを意識するだけで、

業務内容が具体化される。

 

●ステップ5)予想されるトラブルに関するアドバイスをする

 

成果を出すうえで予想されるトラブルは、

コーチング、ティーチングをして、

その問題が起きたときの対処法を前もって準備するか、

その問題自体が起きないように事前に対策を打たせる。

特に致命傷になるものはしっかりアドバイスをする。

致命傷にならないトラブルは、

教育のためにあえて直面するまで放っておいて、

直面した段階で対応させるのも有効。

 

●ステップ6)説明責任を果たすようにリクエストする

 

報・連・相の内容とタイミング、

見直し、確認の手順、内容やスケジュールを正式に決める。

そもそも報告というのは誰にでもある責任であって、

能力のない人だけに課せられている特別なことではない。

仕事を任せるからには、どんな人にでも、

結果責任と説明責任が伴うということをしっかりと教える。

 

●ステップ7)結果責任を理解させる

 

責任が伴わない仕事はあくまでも「作業」。

失敗しても何も問われない立場では、

失敗を繰り返すだけで、成長にはつながらない。

責任には、自ら考え、決断し、遂行するという

「自由」が伴う。

だからこそ成長できる。

「成長」とは、自分で決断をして責任を取ること。

逆にいうと、責任の大きさがそこそこの仕事なら、

自由度もそこそこにとどめる。

そのバランスをコントロールすることがリーダーの役割。

間違っても、裁量を与えない(上司が決めたこと)に対して、

責任を部下に取らせるようなことをしてはならない。

 

●ステップ8)権限を渡す

 

任された仕事で、

どこまで自分が決めていいのか?

どこから上長に決済をとる必要があるのか?

お互い共通認識を持って取り組めるように、

「職務権限規定」を準備するのが有効。

もし規定がない場合は、

せめて口頭ベースでもいいので、

どこまでは自分で決めてもいいのかを伝えてあげる。

仕事を「振る」と「任せる」、

仕事を他人にやってもらうという点では同じだが、

その違いはどこにあるのか?

仕事を「振る」とは、

決定権はあくまで仕事の依頼者側(多くの場合は上司や先輩)に留保される。

基本的には判断が不要なレベルまで分解されたタスクを渡し、

結果や進捗を逐次報告してもらうというやり方で仕事を進めてもらうことになる。

仕事を実際に進めていく上で判断が必要になった時は、

その都度仕事を振った人に対して確認をとる必要がある。

言い方は悪いが、他人を自分の手足のように使うのが

仕事を「振る」というやり方。

それに対して仕事を「任せる」とは、

仕事の依頼時に権限も相手に渡す。

依頼する仕事の単位も、

仕事を振る場合より普通は大きくなる。

仕事の進捗は適宜報告してもらうものの、

実際に現場で意思決定をするのは

仕事を任せられた側であることが多い。

これも言い方は悪いが、

他人に仕事のやり方を考えるところまで含めて、

サクッと投げるのが「任せる」というやり方。

仕事を「任せる」とは「相手を信頼する」ことだ。

自分で考えて自分で判断するようになって、

はじめて、仕事を自分事としてとらえられるようになる。

それは個人の能力向上にもつながり、

結果的にチームの成長へも繋がる。

権限を与えないやり方では、伸ばせる能力に限界がある。

 

 

来週につづく・・・・。